広島原爆投下の日に寄せてvol.2

広島原爆投下の日に寄せてvol.2

2018年8月6日

広島在住のファシリテーター西田恭子さん(おきょう)から、8月6日今日、まさに平和祈念式典に参列された経験のレポートが届きました。
ご本人の許可を得て、シェアさせていただきます。


今日は原爆投下から73年目の8月6日。朝から日射しが強いものの、時折吹く風がちょっと心をホッとさせる、そんな真夏の青い空が広がる広島のおきょうより、わたしの2018年8月6日レポートをシェアさせてください。

8月末退職を控え、もう出社する必要がないわたし。今年は平和祈念式典に参列し、8月6日を特別に心を寄せて過ごしたいと思っていたので、式典に間に合うように家を出ようと思っていたのに、なんやかんやと出遅れ、一生懸命歩いて式典会場の平和公園へ向かったものの、一歩手前の平和大橋のたもとで8時15分(原爆投下時刻)の平和の鐘を聞くことに。歩道の隅でその場に立ち止まり、脱帽して黙祷を捧げました。

橋のたもとで、平和の鐘を聞きながら黙祷していると、何故か涙があふれてきて、同時に今自分が生かされていることに感謝の気持ちが湧いてきました。

平和公園にたどり着いた時には、松井一實広島市長の『平和宣言』の途中でした。

その後はこども代表による『平和への誓い』、続いて安倍総理大臣、湯崎英彦広島県知事、アントニオ・グテーレス国連事務総長(代読)の挨拶を拝聴し、最後は『ひろしま平和の歌』の合唱で閉式となりました。わたしの個人的感想としては、湯崎広島県知事の挨拶が最も心に残りました。

核抑止力の本質についてわかりやすい喩えを使い言及しているとともに、率先して育メンパパを実践する姿を見せてくれている湯崎さんらしさも感じられるメッセージが込められていると感じました。

湯崎県知事の挨拶は、広島県のホームページに全文が掲載されています。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/52/30heiwakinensikitentijiaisatu.html

暑い中、式典には多くの方が参列されており、設置されたテント以外の場所でも、老若男女・国籍・宗教を問わず、原爆死没者への慰霊と平和の祈りが捧げられていました。

式典終了後、わたしはまず慰霊碑(正式名称は「広島平和都市記念碑」といいます)に献花をさせていただき、その後、身元不明の遺骨・引き取り手のない遺骨が納められている原爆供養塔と、韓国人原爆犠牲者慰霊碑に祈りを捧げてきました。

広島には平和大通り沿いや平和公園の中のあちこちに、またそれぞれの地域に、さまざまな慰霊碑があるので、そのところどころで式典や集会などが執り行われています。8月6日前後の広島では犠牲者の御霊を慰め、平和を祈り誓う人々が集う輪がたくさんできています。

それらを実際に自分の目で間近に見てみて思ったのは、やはり原爆投下の日を祝日にしてもらうか、少なくとも広島・長崎では休日にして、市民みんなで犠牲者の御霊を慰め、平和を祈る日にできたらいいのにな、という思いでした。

仕事の忙しさ、日々の生活に紛れて、この日に心を寄せる余裕がない一日にならざるを得ない現状よりも、より多くの人が、少し立ち止まり、慰霊や平和に思いを馳せる時間を持てる日にできたらいいなと、心から思いました。

わたしはずっと広島市民であるにも関わらず、これまではこんなにゆっくり時間をかけて、式典を体験したり、心を寄せて過ごすことをしてこなかったので、退職することになったおかげで今日の日をしっかり向き合って過ごす時間を持てて、とてもありがたく感じています。

帰宅してから娘に聞いたのですが、例年なら式典途中で終わってしまうテレビの生中継(NHK)が、今年は最後の平和の歌合唱まで放送されていたそうです。

良かったらリンクの式典の動画、時間をとって是非ご覧になってみてください。広島のローカルチャンネルの生中継です。

…祈りとともに、2018年8月6日、73年目の広島より。

◆式典の式次第パンフレットPDFファイル
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1344232091477/files/H30shikiten.pdf

◆平和式典に寄せる アントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ
http://www.unic.or.jp/news_press/messages_speeches/sg/29568/

◆安倍総理大臣挨拶
https://www.huffingtonpost.jp/2018/08/05/73years-since-a-bomb_a_23496490/?utm_hp_ref=jp-homepage