エクアドル首都キトからサン・クレメンテ村を訪問する途中でのお話。
先住民の市が立つことで有名なオタバロという町の手前に緯度0° の地点があります。
北半球と南半球を分ける赤道線の地点で、「地球の中間地点」という名前が付けられていて、その場所自体が大きな日時計となっています。
ここで、ガイドをやっている人から聞いた話がとても印象的だったのでみなさんにもぜひお伝えしたいと思います。
普段わたしたちは、地軸が垂直方向に立った状態の地球を見るように教えられています。(そして、無意識のうちに「地球(世界)はそのように存在している」という世界の見方=世界観を持っています。)これは実は、北が上、南が下という形で『地理的に上下が存在する』という前提に基づいた世界観になっていて、私たちはそれ以外の世界の見方を学んでも教えられてもいないとガイドさんは言うのです。
実際、北に住む人が南に住み人よりも上位にあると意識的に考える人は少ないかもしれませんが、無意識の部分でこのように上下という位置関係が私たちの頭に焼き付けられているという点が要注意だそうです。
このように地図を見ると、アメリカ大陸であれば北米が中南米よりも「上」であり、ヨーロッパの「下」にアフリカ大陸があります。そして「『地理的な条件として』北は南の上にある」と考えるようになるというのです。 そんな風に言われて現代に至る世界の歴史や力関係みたいなものを見てみると、この「南北の上下」と国家間の経済的な格差や先進国⇔発展途上国、G7に属している国とそうでない国など、ある程度「南北の上下関係」当てはまったような構造になっていると見えなくもないかもしれません。
ここまで来てガイドさん、「ところが、本当は地球にはそんな地理的な上下なんてないんです!」とおっしゃいます。
「地球儀を、普段と違って、横にして赤道が上に来るように持ってきてみてくださいよ」とおっしゃった。 そのようにして持ってみると、北は上ではなく左に、南は下ではなく右になり、地軸をは垂直方向ではなく水平方向に伸びるようになります。
すると「上下」という見え方はなくなり、すべての地域は絶えず地球の自転とともに、上に行ったり下に来たりして位置を入れ替わるようになります。普段の地図上の上下は消失するのです。このようにして見出せる世界観では、地理的な要因による上下の観念が存在しない世界観になります。
(地球の中間地点で、地軸を水平、赤道を垂直にして世界を観る)
南米の先住民は、太陽を神的な存在として崇め、太陽の動きを中心として自然を捉える見方の世界観で世界を見てきたそうです。そして、そこでは、地理的に上下はなく、そこにあるすべての国と人々にも上下という見方は存在しなかったのです。ガイドさんの話の一番の核心は、この見方の方が、「よりあるがまま、真実な、そして地球・自然の在り様に沿った見方なのではないですか?」という投げかけのように私には感じられました。こんな風に地軸を横にして世界を見、人々の住む土地に上下をつけない「自然の有り様」に従って世界を捉えなおすことは、私たちが世界を「地球上のすべての人々が互いに平等で上も下もない世界としてみる上で大きなヒントを与えてくれる。そんな風に思います。
関口守 元記事はこちらをご覧ください。
赤道で知る別の地球の見方