気候変動イニシアティブ(JCI)主催「気候変動教育に関するメンバー交流会」参加レポート

気候変動イニシアティブ(JCI)主催「気候変動教育に関するメンバー交流会」参加レポート

企業のサステナブルご担当者との交流会に参加して、勉強になったけれど、ちょっと微妙な気持ちになった件

文責:岩瀬淑乃(副代表理事)

2024年9月18日(水)14:00-16:30 気候変動イニシアティブ(JCI)が主催する「気候変動教育に関するメンバー交流会」が開催され、SGからは副代表理事の岩瀬が参加しました。

JCIが事前に行ったアンケートの中で、「気候変動教育・人材開発」に大きな関心が集まっていたことからこの会を開かれたそうです。

このテーマに関心のあるJCIメンバー企業や団体、教育機関、研究機関、NGOなどから、当日は30名ほどが参加されていました。

会は、インプット(講演)と、グループディスカッションで構成されており、講演の時間では、企業をサステナビリティの観点からサポートするコンサル会社の方から世界の潮流や、グローバル企業の事例、また、経産省と共に立ち上げたGX教育の体系のお話しを伺いました。

また、ケーススタディとして、日本におけるリーディングカンパニーである(株)リコーの事例について、リーダーである赤堀氏から全体像を伺うことができたのも貴重な経験でした。
(講演のテーマとスピーカーのリストは文末をご参照ください)

グループディスカッションの場面では、会の傾向や趣旨からも企業内サステナご担当者の方々が多く、SGの立ち位置とは異なる視点で「サステナビリティ」に接することができたのは良い機会でした。

その中では次のようなお悩みや課題が聞かれました。
「基礎知識についての研修などは既に一巡してしまって、次にどうしてよいかわからない」
「社内に部署があっても、経営層が一枚岩で本気ではないので、各事業部長などの協力が得られない」
「何を教育のゴールにしてよいかわからない」
「脱炭素などの定められた指標=外圧、余計な手間ばかりで本業と関係ない、と捉えていて社内の協力が得られない」
「ビジネスチャンスでもあることを経営層、トップが腹おちしていない」
「法律や指標に基づいた情報開示のための事務処理仕事などに忙殺されていて、本質的なことができない」

講演の中で、世界の潮流としてグローバル企業の中では経営層にサステナブルに関する高度な知識や経験を積んだ人材が不可欠と考えられているというお話しもありながら、日本企業の中ではまだまだその「文化」には至っていないこと、そうした中でご担当者のみなさんがご努力されていることがよく理解できました。

一方で、なんとなく 。文脈上当然ではあるのですが、みなさんが「仕事上の役割」としてとらえていることに、やるべきタスクや、行動レベルのみにフォーカスしていることに、もやもやっとした違和感のようなものも感じました。

実際、「なまじ思いのある人がこの仕事をすると、外圧の基準に合わせるためのペーパーワークや社内の無理解などでバーンアウトしてしまうから、自分のように 仕事 と割り切って、目の前のタスクをちゃんとこなせる人の方が向いている」とおっしゃっている方もいました。

現場の方のリアルな本音を伺えたと思います。
でも、、、だからこそ、気候変動について、「役割」を脇においた一人の人間として、「人類にとって今最も大切なことに取り組んでいる、という真実」を真ん中に置いてお話しができたら、もっと実り多かったのではないかと感じました。


チェンドリの最後にお渡ししている、ジョージ・バーナード・ショーの詩を、ご参加のみなさんにお渡ししたら、どんな反応なのだろう 。…
企業のご担当者様たちを集めて「つながりを取り戻すワーク」をやったらどんなことが起きるだろう 。…
私たちSGの特性を活かしながら企業の皆さんに貢献できることは、まだまだ沢山ありそうです。
引き続きその可能性を探っていきたいと思います。


◆「サステナビリティ人材・リーダーの重要性、サステナビ リティ人材育成の国際動向」
鈴木 香織 Codo Advisory株式会社 代表取締役社長・CEO
吉田 太地 BSIグループジャパン株式会社 事業企画本部 本部長
◆ケーススタディ「組織全体でサステナビリティの意識、理解を向上させるには」
赤堀 久美子 株式会社リコー ESG戦略部 ESGセンター室長
◆「GXスキル標準:GX推進人材計画の立て方、育成について」
田原 眞一 株式会社スキルアップNeXt 代表取締役